一人暮らしをされている高齢の女性から、ご相談をいただいたときのお話です。
最初にお会いした頃、ご本人は将来について漠然とした不安を抱えておられました。
「何が不安なのか」と聞かれても、うまく説明できるわけではありません。
ただ、身体のあちこちが気になったり、ときには動悸が強くなったり。医療や介護のことだけでは説明しきれないような不安が、いつもどこかにあるように感じました。
話していく中で見えてきた「不安の正体」
何度かお話をしていく中で、ご本人のこれまでの人生についても聞かせていただきました。
そこで分かったのが、大切なご家族との別れでした。
大切な人を相次いで亡くされた経験があり、その喪失感は長い時間が経っても、ご本人の中に残っていました。
もちろん、身体の不調の原因を私が判断することはできません。
ただ、お話を聞いているうちに、「これから自分に何かあったら、誰がいてくれるんだろう」という不安が、ご本人の中にあるのではないかと感じるようになりました。
一人暮らしそのものが不安なのではなく、「何か起きたときに、頼れる人がいない」ことへの不安だったのかもしれません。
「それ、私のためにあるような話やね」
そこで、私が行っている「丸ごと安心サポート」について説明しました。
元気なうちから相談できる人を決めておくこと。
将来、判断能力が低下した場合に備えて任意後見契約を結んでおくこと。
そして、亡くなった後に必要となる手続きについても、あらかじめ決めておくこと。
一つずつ説明していくと、ご本人がおっしゃいました。
「それ、私のためにあるような話やね」
そして、将来に備えるための契約を結ぶことになりました。
「終わり」を決めたことで、今が安心になった
契約をしたからといって、ご本人の生活が大きく変わったわけではありません。
今まで通り、ご自宅で生活されています。
任意後見契約についても、現在まで開始する必要はなく、ご自身で生活されています。
もしかすると、この先も任意後見を開始することなく過ごされるかもしれません。
それなら、それが一番いい。
任意後見契約は、「使うために契約する」だけのものではないと私は思っています。
必要になったときのために準備しておく。そして、必要にならなければそれでいい。
大切なのは、契約をしたことで、「何かあったら、この人に相談すればいい」と思える人ができたことなのかもしれません。
ご本人からは、「こんなに心強くなるものなんやね」という言葉もいただきました。
今でも何か気になることがあれば、相談してくださいます。
終活は、不安を減らして「今」を生きるためのもの
この方との関わりから、改めて感じたことがあります。
終活というと、「亡くなった後の準備」だと思われがちです。
でも、本当にそれだけでしょうか。
誰に頼るのか。認知症になったらどうするのか。一人で生活できなくなったらどうするのか。亡くなった後はどうしてほしいのか。
分からないままだから、不安になることがあります。
反対に、一つずつ決めて、「何かあったときは、この人に任せよう」と思えるだけで、今の生活が少し安心になることもあります。
だから私は、
人生の終わりを考えることは、これからの人生を安心して生きること。
だと考えています。
有村行政書士事務所では、任意後見、遺言、死後事務委任などの制度を単独で考えるのではなく、その方が今抱えている不安や、これからどのように暮らしていきたいのかをお聞きしたうえで、必要な備えを一緒に考えています。
「何を準備すればいいのか、自分でもよく分からない」
そんな段階からでも、ご相談いただけます。


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