身寄りがない人が亡くなったらどうなる?死後に必要な手続きと生前にできる準備

終活・老後の備え

「自分が亡くなった後のことは、誰かが何とかしてくれるだろう」

そう思っている方も多いかもしれません。ところが実際には、人が亡くなった直後から、たくさんの手続きや対応が始まります。

特に、身寄りがない方、親族が遠方にいる方、親族とは疎遠になっている方の場合は、「亡くなった後、誰が動いてくれるのか」を元気なうちに考えておくことが大切です。

今回は、人が亡くなった後に実際にどのようなことが必要になるのか、その流れを具体的に見ていきます。

① ご遺体の引取り・葬儀会社との調整

亡くなった直後、まず必要になるのがご遺体の引取りです。病院などで亡くなった場合には、医師や病院とのやり取りを行い、葬儀会社へ連絡して、ご遺体をどこへ搬送するのかを調整します。

「葬儀会社はどこにするのか」「どこへ搬送してもらうのか」こうしたことも、亡くなってから誰かが判断しなければなりません。生前に葬儀会社や葬儀の方法などを決めておけば、その希望に沿って進めることができます。

② 相続人や関係者への連絡

次に、相続人や生前に指定されていた関係者などへ、亡くなったことを連絡します。身寄りがないと思っていても、戸籍上の相続人が存在する場合があります。

一方で、「親族とは長年連絡を取っていない」「親族に死後のことまで任せたくない」という方もいらっしゃいます。親族がいることと、その親族が実際に死後の手続きをしてくれることは、必ずしも同じではありません。

③ 葬儀の打ち合わせ

葬儀会社と具体的な内容を決めていきます。家族葬にするのか、直葬にするのか。誰に連絡するのか。どのような形で見送ってほしいのか。遺影に使ってほしい写真や、葬儀についての希望がある方もいるでしょう。

亡くなった後では、本人に確認することはできません。だからこそ、生前に希望を聞いておくことには大きな意味があります。

④ 死亡後のさまざまな届出・解約手続き

葬儀と並行して、生活に関するさまざまな手続きも始まります。たとえば、

  • 電気・ガス・水道などの停止や精算
  • 携帯電話など各種契約の解約
  • 市区町村での各種手続き
  • 還付金などの確認
  • 年金事務所での未支給年金、返納や未納等の確認
  • 預貯金など相続財産に関する手続き
  • 医療費や介護費など未払い債務の確認・精算

などです。ここで意外と見落とされやすいのが、「亡くなったら、その日のうちに全部終わるわけではない」ということです。

たとえば還付金などは、手続きをしてから実際に入金されるまで数か月かかる場合があります。そのため、死後の手続きは長期間にわたることがあります。

⑤ 火葬・収骨・納骨

葬儀の後は火葬を行い、収骨します。その後、生前の希望に従って、お墓、納骨堂、永代供養などの手続きを進めます。

どこに納骨してほしいのかまで決めておけば、亡くなった後に周囲が迷わずに済みます。

⑥ 遺品整理

住んでいた家には、家具、衣類、写真、書類、思い出の品など、多くのものが残ります。必要なものを確認したうえで遺品整理業者から見積もりを取り、整理・処分を進めていきます。

ただし、すべてを単純に「ゴミ」として処分すればよいわけではありません。仏壇やご位牌などについては、必要に応じて寺院などに相談し、閉眼供養(いわゆる魂抜き)を行ってから整理する方法もあります。

その人が大切にしてきたものを、最後までどう扱うのか。これも死後事務の一つだと私は考えています。

⑦ 生前の医療費・介護費などを精算する

亡くなった時点で、すべての支払いが終わっているとは限りません。入院していた病院の医療費、介護サービスの利用料、施設費など、亡くなった後に請求書が届くこともあります。

こうした債務についても内容を確認し、相続との関係にも注意しながら適切に処理していく必要があります。

死後の手続きがすべて終わるまで、半年程度かかることも

ここまで見ていただくと、「葬儀が終われば、それで全部終わり」ではないことがお分かりいただけると思います。

亡くなった直後の対応から始まり、葬儀、火葬、納骨、契約の解約、役所や年金関係の手続き、遺品整理、未払い費用の精算、還付金の確認などが続きます。状況によって異なりますが、すべてが完了するまで半年程度かかるケースもあります。

「誰かがやってくれる」ではなく、「誰に頼むか」を決めておく

では、身寄りがない場合はどうすればよいのでしょうか。一つの方法が、元気なうちに死後事務委任契約を結んでおくことです。

死後事務委任契約では、契約内容に応じて、葬儀や火葬、納骨、行政機関への届出、各種契約の解約、遺品整理など、亡くなった後に必要となる事務を信頼できる人へ託しておくことができます。

一方、「自分の財産を誰に残すのか」「相続手続きをどのように進めてもらうのか」については、遺言を作成し、遺言執行者を指定しておく方法があります。

遺言と死後事務委任契約は役割が違います。この二つを適切に組み合わせることで、財産のことだけではなく、自分が亡くなった後の「生活の後始末」まで準備しておくことができます。

最後に、お骨を拾うということ

死後事務を業務として並べれば、「火葬・収骨」も数ある手続きの一つになります。でも私は、ここは単なる事務手続きではないと思っています。

生前に何度もお会いして、これからのことを一緒に考え、「自分が亡くなった後のことをお願いします」と託していただく。そして、その方が亡くなった後、実際にお骨を拾う。

それは、生前に自分を信頼して人生の最後を託してくださった依頼者への、最後のリスペクトだと思っています。

終活というと、「死ぬための準備」のように聞こえるかもしれません。私はむしろ逆だと思っています。

自分が亡くなった後のことまで決めておくからこそ、これからの人生を安心して生きることができる。

「自分の場合は、誰がやってくれるんだろう」そう思ったときが、一度考えてみるタイミングなのかもしれません。

有村行政書士事務所では、公正証書遺言や死後事務委任契約など、老後から亡くなった後までを見据えた終活についてご相談をお受けしています。

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